下り側のサービスエリアも堪能した後、私の足は、脇道の急勾配へと逸れました。しばらく登ると、周囲は竹林となり、どこからともなく不思議な音が…

 ビニール製のバットを打ち鳴らすような、鹿威しのようなその音。
 最初は、枝払いなどの作業をしているのかな、とも思ったのですが、ある時は竹林の奥から、ある時はすぐ頭上から、音はポコン、ポコンと響くのです…

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 【音はすれども、姿は見えず】2023/3/4(土)
 【参考】図説日本妖怪大全(講談社・水木しげる著)

 私の愛読書かつ絵の参考書でもある図説日本妖怪大全によると、竹切狸は音を出す以外、特段、何をするでもない妖怪です。
 また、竹林の音は人によって表現の幅が大きいのか、竹切狸の伝説では「チョンチョン」、ネットでは「カーン」と聞こえるという声が多く、私の耳には「ポコン」と聞こえました…

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 ひさびさの山道から、ヒザを痛めながら下ってくる頃には、もう夕闇がせまっており、高速にはオレンジのナトリウムランプが灯っていました。

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 山道でカロリーを消費したのか、私の手は、自然と好物のひとつ「五平餅」に伸びます。
 しかし、このあたりの五平餅は「焦げ目があまりついておらず」また「さとうしょうゆ味のタレ」なのです。
 「焦げ目の多さ」と「みそダレ」こそが、五平餅だと思っている私にとって、これは認められませんが、度々、妥協・購入しては恨みを募らせています…

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 去り際にもう一度、高速道路を覗くとすっかり夜。
 赤いランプが尾を引きながら遠ざかる姿を眺めつつ、ちっとも旅行に行っていないのに、旅行欲がかなり満たされていることに、私は気付くのでした…

 岸和田サービスエリア…おしまい

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